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藤樹さんから繋がるものは

稲刈りが終わり、彼岸花が奇麗です。21日、藤樹の里文芸会館は、2公演とも満席のお客さんが詰め掛けてくださいました。早々とチケットが完売になり嬉しいプレッシャーも高まるなか、21人の若者達と彼等をサポートする上演実行委員会のスタッフの皆さんの奮闘で、人間・中江藤樹を見事に現代に甦らせてくれました。演劇を創作していく市民と支援者がいることがとても誇りに思えます。

 子ども達の現代劇と、藤樹を辿る時代劇が重なり合って展開していきました。有名なエピソードのツボが端的に押さえられた感じで、苦悩し、もう少し、もう一歩自分を修め、明徳を発揮し良知に致ろうとした藤樹を浮き上がらせてくれたと感じました。近江聖人として完成された人格のように語られがちな藤樹先生ですが、至らぬ自分を自覚し、聖人の道を市井の人と共に歩もうとされた姿が近くに感じられました。

 会場は、ご夫婦や若者の姿も目立ち、藤樹先生が世代を越えて多くの人の心に宿っていくきっかけになったと思いました。プロの演出家さんや役者さんとの稽古を通じて、互いの絆を深め、困難を乗り越えて到達したであろう落ち着きが素敵でした。緞帳がもう一度上がってキャストと会場が感動を共にしたかったとの声にも接しましたが、藤樹さんが後世の人に託したであろう思いを1人1人の人に深く受け止めてほしいとの意図であの終り方なのでしょうか。「中江藤樹の心は深く、広く、地下水のごとく流れ、受け継がれ、今につながっている・・・・。」藤樹さんと生きることができるのですね。
by hi-kaito | 2008-09-25 19:04
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