「お父さん」 。フィリピン・マニラ東部山中のワワ渓谷に万感の思いをこめた声が発せられました。62年前に戦争が終結。このワワダムの辺りは、終戦の数ヶ月前に激戦となったところのようです。お父さんの顔さえ知らない遺児がほとんどで、お腹にいるときに名前をつけてもらったことが慰めですと仰る方もあり、60余年間ずっと胸にもっていた思いを呼びかけと共に吐露されるのでした。
「お父さん」という言葉にこれだけの想いがこめられ、お父さんの居る子より頑張ろうと懸命になってこられたことが痛々しくさえあります。今回の遺族会戦跡巡拝団は49名でした。遺児は皆自分の体も弱ってきたのでいつまでこられるか分からないけど、お父さんのなくなった地にまた来たいと仰います。日本兵518千人のうち何らかの遺品遺骨が帰ったのは138千人であとはまだ何も手当てがされていないとか。 マニラで米軍アメリカ人墓地(南太平洋圏域)にも寄りました。緑の芝生に17,000超の大理石の十字架や、遺体の収容できなかった兵士の名前を35,000名余刻んだ大理石の回廊が建設されていました。遺族の方が「アメリカて流石やな」とポツリと仰いました。国家の命令に殉じた者の尊厳を守っているように思いました。戦争そのものが人権上許されざる行為だと思いますが、過去のことにおいて、遺骨収集と弔いを遺族がせざる得ない現状は大きな課題があると思いました。「今の日本ならできるはず」という声が耳に入ってきます。国家と個人の関係性がよく見えるというと語弊があるかもしれませんが、知らない世界を垣間見てきました。
by hi-kaito
| 2007-02-16 17:37
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